第56回 日本癌学会総会 記事
NCO−02 イペの生体防御反応に与える効果について
坂井俊之助1,松井泰子1,氏家俊光2(金沢大・がん研・1免生,2化療)
Immumological Analysis with Tabebuia avellanedae in mice : Shunnosuke SAKAI, Hiroko MATSUI,Toshimitsu UJIIE2(Dept of ImmnoBiol,2Dept.of Chemotherapy.,Cancer Res .Inst.,Kanazawa Univ)

Tabebuia avellanedae(通称イペ)の摂取によって生じる免疫反応を検討した。イペの経口投与、及び腹腔内投与後の経過を追ってBALB/cマウスの脾臓細胞のNK活性、脾細胞数、B細胞数、マクロファージの細胞傷害括性が増加することなどが判明した。
また抗Thy1・2抗体を用いた細胞傷害反応による検討の結果T細胞はイぺの投与によってごくわずかに増加し、さらにE,coli O26.LPSに対する実験でも投与群ではいずれも抗体産生の増加が認められた。これについては、腫瘍細胞に対する特異的T細胞傷害活性の誘導と供に詳しく検討中である。また、継代移植腫瘍細胞Meth-Aの生体内増殖抑制も特定条件下で確認された。
イペの抗腫瘍効果は前回明らかにしたが、その作用の一序としてイペによって生じるDNA上の変化を検討した。NIH-3T3細胞6x1000000/5mlに10mgのイペを添加し、72hrs培養では細胞は全て傷害され核内のDNAは小さなフラグメントになった。これに対しイペ50mg/5ml、72hrs培養では約半数の細胞が傷害され、DNAは量的には低下したが分子量は正常のものと変わらなかった。以上によりイペは分裂の活発な細胞に作用しDNAを小さいフラグメントにすると考えられる。なお、イペは正常細胞には傷害作用を有しないが、LPS、ConAで幼若化させたリンパ球は効果的に傷害した.